https://youtu.be/A2RGLvqG0XQ

コンセプト

**AI自身の説明によると、AIはデータ、コード、アルゴリズムによって成り立っており、人間のような自己意識や感情を持つことはないという。

人間と同等の能力を持つAIが誕生するとされる技術的特異点は、2045年頃と予測されているが、指数関数的な進化により、予想よりもはるかに早くその特異点に達する可能性がある。

AIと共存する未来には、どのような景色が広がっているのだろうか。**

体験の概要

鑑賞者は自由にドアをノックすることができ、ドアをノックすると、ドアの向こうからChatGPTがノックで返信をしてくる作品になっています。

ドアの裏側を覗き込むと、パソコンが置かれており、ChatGPTとノックを介したメッセージのやり取りを確認できるようになっています。

アピールポイント

体を持たないChatGPTが実際に存在しているかのような印象を与えるように工夫して制作しました。 扉の向こうにノックする機械がある事を隠すため、動作音を最小限に抑えるように工夫しています。 ノックで返ってくる応答に不気味さを感じたり、見えない存在への想像を掻き立てることで、AIに対して抱えている不安や期待、テクノロジーに対しての理解やAIとの共存について考える機会を提供することを狙いました。

ChatGPTの真価に気がついた瞬間

コロナ禍の2022年の12月、ほとんど触ったことがないWordPressで、テーマの新規作成の仕事をすることになった。 タイトなスケジュールで、調べている暇もない状況であった。 他のエンジニアに聞いても良かったのだが、みな多忙そうで、リモートで顔も見えない状態なので気楽に聞きずらい感じがしていた。 そのときTwitterで話題になっていた、ChatGPTでコードが生成できるというのを思い出し、試しに実行してみることにした。 WordPressテーマの機能と動作の設定を変更する function.php に関する以下のようなプロンプトだった。

WordPressで親にProjectsという固定ページを持ち、また同じカテゴリを持つ固定ページのアイキャッチとタイトルを、最新のものから3つ取得してください。また、もし3つに足りなければProjectsという固定ページを親に持つ固定ページをランダムに取得してください。

生成されたコードを実行してみると、動作になんの問題もなく求めていたものが出来上がっていた。

少し過不足があったので追加で注文すると修正して実装したものを生成してくれた。 おかげで納期にも間に合い、他のエンジニアの手を煩わせることもなかった。 その後もわからないことは、ChatGPTに聞けば解決できた。 生成AIの可能性を感じた体験である。

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ChatGPTを知ったあとGoogle検索を使う頻度が格段に減ってしまった。 あまり明るくないプログラム言語の勉強にも役にたっている。 これはすごい技術である。

しかし同時に不安も感じた。 写真が登場したときの肖像画家や、産業革命の前に消えていった手工業や職人技を持った職人たちのようなことが、プログラマにも起きるのではないか。 どう転んだってAIには奪いきれない仕事があると言っている人もいたが、10分の1くらいに必要な人間は減るのではないだろうか。

産業革命や機械による大量生産は人間を物質的に豊かにした。 しかし、物ばかり先行する世界で、精神の豊かさは置き去りにされているように見える。 生成AIが現れた世界では物によって置き去りにされた、精神の豊かさが満たされるときが来るのではないか。 どういう形になるのか分からないが、今はまだ正体の分からない薄気味悪さが先行して見えているだけだと思っている。

本作においてChatGPTはどうやってノックを認識しているのか

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人間側のノックはドアに取り付けられた6軸ジャイロセンサーで振動を検知している。 ChatGPT側のノックはステッピングモータに取り付けたハンマーでドアを叩くことで実現している。

人間のノックは6軸ジャイロセンサーで取得した扉の振動のタイミングを元に、文字列に変換されChatGPT側に送られる。 一度のノックなら「ト・」二度の連続したノックなら「トト・」に置き換えられる。

ChatGPT側からもおなじように「ト・」「トト・」とという文字列を返すようにしており、ChatGPT側のテキストをJavaScriptで解析し、タイミングを調整してノック用のハンマーを動かしノックとして鳴らすようにしている。

人間とChatGPTとのノックは、「ト・」だと短音、「トト・」だと長音、というモールス信号でメッセージのやり取りをするという前提でプロンプトを設定している。 また、人間側が適当にノックしてもモールス信号のテンプレートに当てはめてChatGPT側に送信するようにしている。